精神力動療法
- 精神力動療法は精神分析を基盤とし、心の中に働くあらゆる力のありようを捉え、その理解に基づいて支援を行うこと全般をさす。
- この両方の特徴として、①対話によってクライエントの気付きを促進させることに重点を置く。②転移逆転移の理解、解釈を重視する。③解釈と同じくクライエントの変容に重視されるものに、Alexander,F.が提唱した修正情動体験がある。
- 修正情動体験とは、カウンセラーとの交流が、クライエントの過去の対人関係で形成された不適応の原因となる人間関係のパターンを破り、安心感を伴う新たな体験となることで適応的に修正していくもの。
精神分析
- 精神分析は、Freud,S.が考案した。不適応的症状は無意識の抑圧であるとし、自由連想法や防衛機制など、様々な概念を生み出した。
- 局所論は、意識・前意識・無意識からなり、構造論は超自我・自我・イド(エス)からなる。
転移
- 転移とは、クライエントが抱くカウンセラーに対する非合理的な感情である。
- 陽性転移とは、好意や恋愛感情などを抱くことで、陰性転移とは怒りや敵意といった負の感情を抱くことである。
- 転移はカウンセラーとクライエントが共同で構築しているものと理解される。
逆転移
- 逆転移とは、カウンセラーがクライエントに抱く非合理的な感情のこと。
- 以前は逆転移は悪いものとされていたが、現在は逆転移も含めて面接に還元していく流れとなっている。
防衛機制
- 防衛機制とは、認めがたい自身の感情や欲求から自分を守るために無意識に働く様々な方法のことである。
抑圧
- ショックな出来事や不快な感情を単純に押さえ込んでしまうこと。例:ショックな出来事をそのまま忘れる
否認(否定)
- 現実の出来事を、現実として受け入れないこと。例:癌であると宣告されたが、間違いであるとし、認めない
投影
- 自分のある種の感情や衝動、考えが、自分の中にあると認めず、それを他者に投げかけること。例:後ろめたい気持ちを「みんながじろじろみている」と思う
反動形成
- 受け入れがたい感情や衝動を抑圧するために、それと反対の感情や衝動を示すこと。例:禁煙をしたい人が、禁煙のメリットを過剰に表明する
知性化
- 感情を本当に感じることを避けるため、浅い知識レベルで理解しようとすること。例:自分の深い心の傷に直面することを避けるために、心理学を学んで理屈で理解しようとする
合理化
- 行動の真の理由を隠すために、もっともらしい理由を作ること。
昇華
- 欲求を、社会的に望ましい活動へのエネルギーに向けること。例:性衝動を部活動に熱中することで発散する
同一化
叶わない願望や自分にないものを、それを持つ他者になったかのように感じることで空虚感を埋めようとすること。例:子供を持たない人が他人の子供の服を作ってあげる