心理学の学派
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近代心理学の始まり
- 心理学は哲学を起源とし、生理学や進化論の影響を受けながら成立した。19世紀の中頃ドイツを中心に感覚や知覚の実証研究が行われ始めた。
- Weber,E.H.はウェーバーの法則を見出した。その弟子であるFechner,G.T.が心理学実験の方法論の基礎を築いた。
- その影響を受けたWundt,W.MはLeipzig大学に心理学実験室を開設した。これが近代心理学の始まりである。
- Wundtに刺激を受けたJames,W.は1890年に心理学原理を著した。近代心理学の創始者のひとりである。
構成主義
- Wundtは自分自身の心の状態やその動きを観察し、記録にとどめる内観法を用いたが、彼の弟子であるTitchenr,E.BはWundtの心理学をアメリカに持ち帰り、構成主義として発展させた。
- 構成主義は意識を厚生資する要素に分解し、法則性や意識の構造を明らかにしようとする立場。
- 20世紀にはWundtの流れを汲んだ構成主義の心理学に対抗して、ゲシュタルト心理学、精神分析、行動主義の3つの流れが誕生した。
ゲシュタルト心理学
- ゲシュタルト心理学は、「人間は与えられた刺激を個別にではなく、まとまりをもったものとして知覚し、意識する。そこには何らかの心的過程の働き掛けがある」と主張する。
- Wertheimer,Mは仮現運動の実験により、全体は部分の総和を超えることを示し、ゲシュタルトの重要性を唱えた。
精神分析
- Wundtが意識を分析対象としたのに対し。人間の意識できない無意識に着目したのがFreud,S.の精神分析。Freudは人間の心が自我、エス、超自我、から成り立っており、人間の行動はその多くが無意識によって決定されていると主張した。
- Freudの弟子にはAdler,A.、Jung,C.G.がいるが、いずれもFreudの理論に反発し、Adelerは個人心理学、Jungは分析心理学を提唱していく。
- Freudの流れを引き継いだのはFreud,A.自我心理学やKlein,M.対象関係論、Erikson,E.H.ライフサイクル理論である。この流れの中で精神分析療法が発展していった。
行動主義
- 意識の構造を研究した構成主義に対し、注意、記憶といった意識の機能を解明しようとする立場が機能主義である。Jamesからの流れを受け、シカゴ大学、コロンビア大学で発展していった。
- Watson,J.B.は、心理学は客観的に測定可能な行動を研究対象とすべきであると主張。1913年行動主義宣言を行い、行動主義を打ち出した。ロシアのPavlov,I.Pが行ったレスポンデント条件付け研究に影響を受け、すべての行動は条件付けの結果であるとし、アルバート坊やの恐怖条件付けなどの実験研究を行った。Watsonの行動主義はS-R理論と言われる。
- 1930年台になると新行動主義が登場。Tolman,E.C.のS-O-R理論、Hull,C.L.の動因低減説などがある。
- Skinner,B.Fはオペラント条件付けとレスポンデット条件付けを区別し、スキナーボックスを使って強化随伴性の研究を行い、S-R理論を追求した。研究はその後行動療法に応用されていくことになる。
認知心理学
- 行動主義では、より複雑で高度な行動や学習を説明することが難しいことから、刺激と反応の間に起こる思考や記憶、学習や推論といった内容過程を情報処理過程として研究する認知心理学が生まれた。
- 認知心理学という言葉は1970年Neisser.Uの著書、認知心理学によって知られることとなった。Bruner,J.Sの認知発達理論や、Bandura,A.の社会的学習理論などががある。
- 認知心理学は行動心理学にも影響を与え、それが認知行動療法へと発展していった。認知的メカニズムを心理的過程と脳神経学で解明しようとする、認知神経科学という分野も生まれていった。