心理士職責

インフォームドコンセント

インフォームドコンセントは公認心理師に限らず、対人援助を行ううえで、重要な考え方である。インフォームドコンセントとは、クライエントの情報を第三者に提供する際に、理由と目的を伝えて、クライエント本人から同意を得ることである。クライエント本人に、誰にどのような内容が提供されるのか、その必要性について話し合っておく必要がある。

インフォームドコンセントの例外

公認心理師として秘密保持義務を遵守し、クライエントの自己決定権を尊重することが基本であるが、例外もある。クライエントの安全を優先する際に、そのような例外が生じる場合がある。

いわゆる自傷他害の状況がそれであり、守秘義務を優先するのか、クライエントの安全性を優先するのかといった、見極めが重要である。

  1. 自殺の危険性が高い場合
  2. 虐待が疑われる場合
  3. 法による定めがある場合

専門家としての自己研鑽

公認心理師として、継続的な訓練と学習を行うこと、自己研鑽を行なっていくことが求められている。心理職としてのコンピテンシーを獲得していくことが必要。

コンピテンシーとは、良い結果をもたらし続けるための行動特性であり、適切な思考と判断により効果的な方法を実行することである。コンピテンシーを身につけるには自身に課題を設定し、振り返ることが重要である。自己アセスメントや反省的実践といったキーワードがこれにあたる。

スーパービジョン

反省的実践は、スーパービジョンを通しても行われる。スーパービジョンはスーパーバイザーに自身の持っているケースを報告し、指導助言を受けるものである。クライエントにより良い援助を行えるようにすることを目的としている。課題の発見や精神的なサポートを獲得することが期待できる。

心理職としての職業的発達は生涯続く。

連携について

公認心理師の活動領域は多岐にわたる。公認心理師は活動する分野において、他職種、他機関と連携を行なっていくことが求められている。

連携を行う際には『生物ー心理ー社会モデル』の視点で連携を行うことが大切である。

医療分野における連携

公認心理師は、担当するクライエントに主治医がいる場合には、その主治医の指示を受けなければいけない。

近年現場においては様々な医療専門職が連携する、チーム医療の重要性が指摘されている。チーム医療とは1人の患者に対して、複数の医療専門職が連携して、治療やケアにあたることである。医療の質を高めると共に、効率的な医療サービスを提供することを目的としている。カンファレンスを行なうなどして情報共有を行うことが大切である。

教育分野における連携

教育分野においても、他職種連携によるチームアプローチの重要性が指摘されてる。チーム学校というキーワードがこれにあたる。公認心理師は、チーム学校の一員として、生徒を支援し、教師や保護者との連携を図っていく。

公認心理師のチーム学校での役割として、心理的アセスメントを用い、心理学的な支援を行う。教師や保護者への支援といった関係者への支援も行なっていく。

その他の分野における連携

公認心理師の活躍の分野は多岐にわたる。福祉分野においても、専門職との連携が求められる。児童福祉領域、高齢者福祉領域、障害者福祉領域、精神保健福祉領域と、幅広く活躍を期待されている。

裁判所、刑務所、保護観察所、少年院といった、司法分野における連携についても期待されている。また、産業、労働の分野においても、事業所の産業医、産業保健師といったスタッフとの連携が期待されている。

公認心理師の活躍の場所は幅が広い。どの分野においても、他職種との連携が期待されている。